2005 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーを用いた多光子誘起周期構造の構築と解析
Project/Area Number |
17651067
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂井 亙 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 講師 (70263176)
|
Keywords | フェムト秒 / 超短パルス / 多光子励起 / LIPPS / SRG / 表面構造 / アゾ色素 |
Research Abstract |
本研究は極微構造作製・解析システムを用いて,有機高分子薄膜に,フェムト秒レーザーを用いた多光子励起過程を利用して周期的な微細構造を構築し,さらに,形成された微細構造の光学的および分光学的な構造解析を行うことを目的とした. 表面構造の構築と確認:既にナノ秒レーザーによって表面レリーフ格子(SRG)やレーザー誘起周期表面構造(LIPSS)の構築が確認されているアゾ色素含有高分子薄膜を,平坦なガラス基板上にスピンコーティングによって調製し,波長800nm,半値幅130fs,繰り返し周波数1kHzのフェムト秒レーザー光を,レンズ集光を行うことなく照射してLIPPS構造の形成を試みた.しかしレーザー強度を数十mWから約100mWまで変化させてもフィルム表面に目立った変化が見られず,それ以上強度を上げると表面破壊を生じた.色素を全く含まない高分子フィルムについても同様な結果が得られたので,化学反応過程を調べるために電子スピン共鳴法により損傷部分を検証したところ,高励起状態によって生じたラジカル分解生成物を確認することができ,アブレーション現象が起きていることがわかった.今回は多光子励起過程を通じた変化を期待したが,波長およびレーザー光プロファイルが全く異なることで,一光子励起のような単純な構造形成過程がなされないことが原因と考えられる. (付記:平成17年度に当該研究機関に導入された最新の極微構造作製・解析システムを用いて研究を行っているが,年度当初よりでシステムの冷却水漏れ事故や増幅レーザー光源の故障,光学系の損傷など,予期せぬ事態が連続して起こり,実働時間がかなり短縮された.)
|