2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17651076
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮澤 薫一 独立行政法人物質・材料研究機構, エコマテリアル研究センター, 主席研究員 (60182010)
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Keywords | フラーレン / ナノチューブ / 液-液界面析出法 / フラーレンナノチューブ / フラーレンナノウィスカー |
Research Abstract |
フラーレンからなる結晶性ナノ繊維"フラーレンナノウィスカー"の作成方法である液-液界面析出法を応用することにより、C_<60>フラーレンからなり中空部を有するフラーレンナノウィスカー、すなわち"C_<60>フラーレンナノチューブ"の合成法を確立した。従来の液-液界面析出法で合成されたC_<60>ナノウィスカーの詳細な構造評価を行い、それらが成長したときには内部に溶媒を取り込んだ結晶構造(溶媒和構造)であったことを明らかにした。また、C_<60>フラーレンナノチューブについても同様の調査を行った結果、C_<60>ナノウィスカーとは異なる溶媒和構造を持っていたことがわかった。C_<60>フラーレンナノチューブの詳細な形態観察を目的として超薄切片を作製し、断面に垂直な方向からの観察に成功した。これにより、C_<60>フラーレンナノチューブの外表面が結晶構造を反映した6角柱を基本とすることを明らかにした。 合成時の温度をコントロールすることにより、外径が数マイクロメートルに達する、太いC_<60>フラーレンナノチューブが得られることがわかった。これにより、より大きなサイズのゲスト物質を挿入することが可能となった。チューブ状であるという形態の特徴を生かして、その内部に別の物質を入れることを試みた。まず、比較的太いC_<60>フラーレンチューブについて、内部に液体が流れることを光学顕微鏡による直接観察から確認した。次に、チューブに入れた液体中でKBr結晶を成長させることにより、ゲスト固体を内包するC_<60>フラーレンナノチューブを得ることに成功した。さらに、C_<60>フラーレンチューブの壁部分を選択的に溶かすことによって内部に析出させた固体を取り出すことができることがわかった。このようにC_<60>フラーレンナノチューブを鋳型として使用する場合、C_<60>フラーレンは最終的に溶液の状態で回収されるので、繰り返し使用することが可能であることを見出した。
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Research Products
(5 results)