2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17651076
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
宮澤 薫一 独立行政法人物質・材料研究機構, 燃料電池材料センター, 主席研究員 (60182010)
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Keywords | フラーレン / フラーレンナノチューブ1 / C_<60>ナノチューブ / フラーレンナノウィスカー / 液-液界面析出法 / C_<60> / ラマン / ポリマー |
Research Abstract |
(1)C_<60>フラーレンナノチューブ(C_<60>NT)の合成における温度、溶媒の種類、濃度および光照射によ影響の調査を行なった。C_<60>飽和ピリジン溶液とイソプロピルアルコール(IPA)の1:7と1:6の量比において、かつ、10℃と15℃の保持温度において、C_<60>NTが生成しないことが判明した。 (2)前年度に構築した冷却ステージ装備のグローブボックスによる合成を行った。この場合は、C_<60>飽和ピリジンとIPAとの液-液界面を形成後、超音波照射を施さない場合と施した場合のふたつを検討した。その結果、両者において、C_<60>NTが生成することが判明した。従来、超音波照射を施すことによって、液-液界面における結晶核の生成を促進することが、C_<60>NTの形成において必要であると認識していたが、グローブボックスの窒素ガス中という乾燥雰囲気であれば、超音波照射を施さなくとも、C_<60>NTが生成するという画期的な発見となった。この結果は特許出願した(特願2006-313074)。 (3)C_<60>NTのラマン分光スペクトルを、C_<60>飽和ピリジン溶液とIPAの量比(1:6、1:7、1:8、1:9、1:10)の関数として解析した。その結果、合成したてのサンプルについて、C_<60>のペンタゴナルピンチモード(A_g(2))は、常温常圧におけるC_<60>の分子結晶が示す値から低波数側に8cm^<-1>程度シフトしており、電化移動が生じて、ファン・デル・ワールス結合から結合状態が変化していることが分かった。これは、ラマン装置の532nmの緑色レーザーによるポリマー化が影響していることが考えられるが、一般に、溶媒が残存しているとポリマー化しやすいことを示していると推察される。 (4)ラマン測定によって、溶液中においては、C_<60>NTのC_<60>分子同士が、ファン・デル・ワールス結合していることが明らかになった。このため、溶液中においては、C_<60>NTは、非常にしなやかに湾曲することができると考えられる。
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Research Products
(7 results)