2005 Fiscal Year Annual Research Report
シリコンナノシートをビルディングブロックとした新規光機能素子の研究
Project/Area Number |
17651079
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Research Institution | Toyota Central R&D Lab., Inc. |
Principal Investigator |
中野 秀之 株式会社豊田中央研究所, 材料分野・二次電池第2研究室, 主任研究員 (10253113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 昌彦 株式会社豊田中央研究所, 材料分野・有機材料研究室, 主任研究員 (20394588)
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Keywords | ナノシート / 層状シリコン / 蛍光特性 / コロイド結晶 / 自己組織化 / 量子サイズ効果 |
Research Abstract |
本研究では、層状構造を有するZintl相シリサイドを単層にまで剥離することにより得られるシリコンナノシートをナノブロック単位に用いて、新規光エネルギー変換材料、省エネルギー電子デバイス、表示素子などを目指している。 17年度は、シリコンナノシートの合成とその物性解明、およびコロイド粒子の規則配列について取り組んだ。シリコンナノシートの合成に関しては、代表的なZintl相シリサイドCaSi_2のSiに対してMgを5%添加したものを、プロピルアミン塩酸塩水溶液中で脱Ca反応を行うことにより、シラノール基でキャップされたシリコンナノシートが得られることを始めて見出した。得られたシートの厚みは、AFM観察から約0.4nmと求められ、一原子層のシリコンから構成されたシートであることを確認した。更に、シート面内の構造はTEM観察および放射光を用いたin-plane回折測定の結果より、バルクシリコンの(111面)に対して2×2構造の超格子である事も明らかにした。 シリコンナノシートの光学特性の正確な把握、理解は本研究の目標達成のために不可欠であるため、本年度はその基礎データの収集を行った。光吸収スペクトル測定の結果、268nm(4.8eV)にピークを持ち、バルクシリコン(1.1eV)に対して大きくブルーシフトし、量子サイズ効果が示唆された。更に、蛍光スペクトル測定より、434nm(2.9eV)に強い蛍光が観察され、量子サイズ効果を強くサポートする結果が得られた。このようにして得られたシリコンナノシートは、従来にない新しい形態のシリコン材料として、その特徴が明らかになりつつある。 一方、新規光機能素子作製のための基盤技術となるコロイド粒子の規則配列手法についても様々な検討を行った。従来の引き上げ法で得られるコロイド結晶には、無数の点欠陥や線欠陥が生じる問題があった。そこで、本研究では蒸発速度と粒子の対流を組み合わせたコロイド結晶作製セルを試作し、従来法と比較して欠陥が劇的に少ないコロイド結晶が得られる事を見出した。
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