2005 Fiscal Year Annual Research Report
5'-endSAGE法を用いた包括的エピジェネティクス
Project/Area Number |
17651104
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 真一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00313099)
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Keywords | 転写開始点 / エピジェネティクス / 遺伝子発現 / SAGE / 癌 |
Research Abstract |
最近、種々の遺伝子の発現にエピジェネティックな作用が関与していることが明らかになってきた。特に癌の発生や進展にDNAのメチル化やヒストンの脱アセチル化などのエピジェネティックな異常が関与していると考えられている。しかしながらDNAのメチル化などのエピジェネティックな作用が、転写開始点およびその発現量にどのような影響を及ぼすか検討した報告は非常に少なくその詳細は明らかでない。そこで我々が開発した5'SAGE法(包括的な遺伝子発現解析を転写開始点を含んだ形で観察する方法)を用いてエピジェネティックな作用が上述の発現様式にどのような影響与えるか検討した。 HT29大腸癌細胞株を用い脱メチル化(5-Aza-2'-deoxycytidine)と脱アセチル化阻害剤(TSA)で処理しそれぞれのライブラリーから約70,000の5'SAGE tagを得た。それらをゲノムにアノテーションしそれぞれのライブラリーからの遺伝子発現頻度および転写開始点について解析した。その結果5-Aza-2'-deoxycytidine、TSA処理で発現遺伝子の数が未処理に比べそれぞれ1.32、1.48倍に増加した。さらにそのときの転写開始点数もそれぞれ1.35、1.52倍に増加した。また、エピジェネティックな作用のよってイントロン領域及び遺伝子がアノテーションされていないゲノム領域からの発現も観察された。このことからエピジェネティックな作用が遺伝子発現に影響を与えているだけでなく転写開始点の多様性にも影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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