2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17651120
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
影近 弘之 東京医科歯科大学, 大学院・疾患生命科学研究部, 教授 (20177348)
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Keywords | 核内受容体 / PPAR / RXR / アゴニスト / アンタゴニスト / ヘテロダイマー / レチノイド / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
脂肪組織はアディポカインと呼ばれる様々な内分泌因子を産生、分泌し、脂質・糖代謝の恒常性に重要な役割を担っており、脂肪細胞の機能を正常化することが生活習慣病の治療もしくは予防になると考えられている。本研究では、脂肪細胞の分化、肥大化を制御する転写因子PPARγの機能発現に関わる核内受容体もしくは転写関連因子を標的として、その機能制御剤を創製することを目的とする。本年度は、PPARとヘテロダイマーを形成する核内受容体RXRのアゴニストを創製し、ヘテロダイマー選択性を検討した。 1)RXRアゴニストによるヘテロダイマーパートナー選択性:本研究者は特異的なRXRアゴニストとしてピリミジンカルボン酸誘導体PA024とジベンゾチアゼピン誘導体HX630を創製した。これらはいずれもヒト白血病細胞HL-60の分化誘導検定においてレチノイドシナジスト活性をもつRXRアゴニストとして見いだされたが、Am80とPA024もしくはAm80とHX630の併用による効果をマイクロアレーにより遺伝子発現解析をした結果、異なるプロファイルを示すことがわかった。また、PA024とHX630はPPARγ-RXRヘテロダイマーに対しては単独で活性化するが、LXR-RXRヘテロダイマーに対してはPA024だけが活性化を引き起こし、HX630は活性化しない。従って、HX630はヘテロダイマーパートナーを識別する能力があることがわかった。 2)レチノイドアンタゴニストの創製:レチノイドは脂肪細胞の分化を特異的に制御する。今年度は、その作用を抑制するアンタゴニストの設計と合成を行った。レチノイド構造の脂溶性部位にトリフルオロメチル基の導入を試みた結果、レチノイドアンタゴニスト活性をもつ化合物を見いだした。比較的小さいトリフルオロメチル基を持つアンタゴニストは、コファクター選択性や組織依存的な作用を発揮する可能性がある。
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