2005 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物における環状ジテルペンの生合成制御機構のポストゲノム手法による解析
Project/Area Number |
17651121
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
林 利光 富山大学, 薬学部, 教授 (40092796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 文也 富山大学, 薬学部, 助教授 (70143865)
李 貞範 富山大学, 薬学部, 助手 (40332655)
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Keywords | Scoparia dulcis / シャスモン酸メチル / カルモジュリン / copalyl diphosphate synthase |
Research Abstract |
高等植物は多様な二次代謝産物を創りだすが、その生合成制御機構はまだ不明な点が多い。本研究で対象とするScoparia dulcisは、カビの二次代謝産物であるaphidicolinと類似型の生物活性ジテルペンscopadulcic acid Bやscopadulciolを産生する。これらのジテルペン類の生合成には葉の分化や葉緑体の形成が必須であることが示唆されているが、その生合成制御機構は不明のままであった。本研究では、これらの有用ジテルペンの高効率生産システムの構築を目指し、ポストゲノム手法であるプロテオームおよびメタボローム解析技術を用いて、それらの生合成制御機構の解明を目的としている。本年度は、まず実験条件の最適化を目的に、以下の項目について検討を行った。 (1)従来、ファイトアレキシンなど植物二次代謝産物の産生を誘導することが知られているジャスモン酸メチル(MeJA)について、本植物でも有効かどうか検討するため、MeJA処理の最適条件を検討した。その結果、10μMの濃度のMeJAで茎葉培養組織を6日間処理したところ、組織中のSDB含量が非処理群と比較して2-3倍程度増加した。 (2)MeJAがどのような作用機序でSDB生合成に関わっているかを検討した。その結果、MeJAによるSDB産生促進作用に、カルモジュリンやCa^<2+>チャンネルなどCaシグナル伝達系が関与していることを示唆する実験データを得た。 (3)S.dulcisより、ジテルペン生合成の最初の環化反応を触媒する酵素syn-copalyl diphosphate synthaseのクローニングを試みた。しかしながら、今年度はジベレリン生合成に関わると考えられるent-copalyl diphosphate synthaseのみが得られた。 次年度は本年度得られた成果を基礎に、種々の条件下でのプロテオームおよびメタボロームの変動を検討する予定である。
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