2005 Fiscal Year Annual Research Report
味覚修飾タンパク質クルクリンの機能発現メカニズムの解明とその応用
Project/Area Number |
17651126
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
加藤 晃一 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 教授 (20211849)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 芳樹 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 講師 (90323451)
栗本 英治 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 助手 (90234575)
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Keywords | クルクリン / 味覚修飾 / 蛋白質 / バイオテクノロジー / 構造生物学 |
Research Abstract |
クルクリンは、それ自身が甘味を呈するのみならず酸味のあるものを甘く感じさせるという味覚修飾活性を有するタンパク質である。その甘味はショ糖の数千倍に匹敵し、甘味料としての応用にも魅力ある研究対象である。我々は新たなクルクリンのアイソフォーム(クルクリン2)を見出し、クルクリンの活性本体が既知のクルクリン(クルクリン1)とクルクリン2とのヘテロ2量体であることを明らかとした。本研究は、構造生物学的観点よりクルクリンの甘味および味覚修飾活性発現メカニズムの解明を目的とした。 クルクリンの立体構造を明らかとするために、クルクリン2量体の結晶化を試みた。その結果、これまでにクルクリン1ホモ2量体の結晶化に成功し、X線結晶構造解析によりその立体構造を1.5Åの分解能で決定した。得られた結晶構造から、クルクリン1はβプリズムフォールドからなり、各サブユニットのC末端領域が相手のサブユニットに延びている構造を形成していることが明らかとなった。C末端の4残基については、明確な電子密度像が得られなかった。 溶液中でのクルクリンの高次構造を多次元NMR法により解析した結果、クルクリン1サブユニットはホモ二量体を形成している場合もヘテロ二量体を構成している場合も、良く似た立体構造を形成していることが明らかとなった。また結晶構造で明確な電子密度像が得られなかったクルクリン1のC末端付近が、溶液中で高い運動性を持つことが明らかとなった。 クルクリンの活性発現に関与するアミノ酸残基を特定するために、部位特異的変異体の作成を行った。主に、クルクリン1とクルクリン2の間でアミノ酸残基が保存されていない部位に変異を導入した一連の変異体を作成し、活性を評価した。
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