2005 Fiscal Year Annual Research Report
伝統的なハナショウブ品種の起源と、遺伝資源、文化財としての保全に関する研究
Project/Area Number |
17651129
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
田淵 俊人 玉川大学, 農学部, 助教授 (70188407)
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Keywords | ハナショウブ / ノハナショウブ / 遺伝資源 / 文化財 / 自生地の保護 / 栽培管理技術 / 保全環境学 / 保全生物学 |
Research Abstract |
ハナショウブは、日本が世界に誇る伝統的な園芸植物であり、遺伝資源、文化財としての価値を備えている。これらの品種群はわが国に自生するノハナショウブを元に改良されたいわれているが、ここ数年の自生地での乱開発により絶滅傾向にある。また、江戸時代に作出された伝統的なハナショウブの品種は、遺伝的に劣性形質が多いので病気に非常に弱く、維持・管理が困難となっているが門外不出の品種が多いので、今後の維持・管理は非常に困難になっている。よって、ノハナショブやハナショウブの早急な保護対策の確立が急務である。そこで、ノハナショウブについては、開花時期に北海道の道東地方、および本州中部の自生地ごとに生態調査、および形質調査を行った。その結果、地域によって多弁化、色素の変異が多く認められたので、ノハナショウブの育種素材としての有用性、栽培種への発展過程を裏付けることができた。さらに、高層湿原の酸性土壌で生育良好であること、土壌水分は必ずしも必要でないことが明らかにされたことから、ノハナショウブを維持・保存していくための基礎資料が得られた。また、各地の愛好家および神奈川県フラワーセンター大船植物園からは門外不出の品種を含めてやく300品種、2000株を収集した。門外不出の大船種は、80年に渡る連作障害によって絶滅に瀕していたが、本調査で長年に渡る連作により土壌や水分が劣化し、根の発達が著しく抑制されることを見い出した。これらの研究から、ノハナショウブやハナショウブの品種を維持・管理していくための環境条件や、栽培技術を見い出すための重要な資料を得ることができた。引き続き、ノハナショウブの自生地の生態的特長と形質調査、伝統的な門外不出のハナショウブを収集して、維持・管理・保護していくための研究を継続する予定である。
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Research Products
(5 results)