2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17652015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西原 大輔 広島大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (70286110)
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Keywords | 近代史 / 日本史 / 帝国史 / 美術史 / ネットワーク研究 |
Research Abstract |
本研究、近代日本の帝国美術ネットワークの研究は、3年計画であるが、その第1年目にあたる平成17年度においては、研究の理論的基盤を中心に分析を進めた。帝国の歴史を考える上で、欠かすことのできないのが、エドワード・W・サイードのオリエンタリズム論となる。エジプトで発行されているアメリカ系学術雑誌ALIF, Journal of Comparative Poeticsに発表した論文Said, Orientalism and Japanでは、オリエンタリズムと日本とのかかわりについて論じた。さらに、8月から9月にかけてオーストリア、ウィーン大学で開催されたEAJS(ヨーロッパ日本研究協会)の大会において、近代日本美術の中のアジア表象について発表を行った。次に、具体的な作品に即した研究へと進み、論文「近代日本工芸と植民地」を完成させた。近代日本工芸が植民地とのかかわりを持つようになったのは、主に大正期からである。朝鮮などでの発掘の成果は、工芸家たちに大きな刺激を与えた。また、献上美術品といった形で、工芸作家は満州国の権威化にも参与している。近代日本の美術は、大日本帝国の帝国美術ネットワークの中で形成されていったものと言うことが可能である。
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