2007 Fiscal Year Annual Research Report
唐三彩を例として陶磁器の熱ルミネッセンス法による制作年代の推定のための基礎的研究
Project/Area Number |
17652019
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Research Institution | The Association for the Advancement of Fine Arts, Osaka |
Principal Investigator |
出川 哲朗 The Association for the Advancement of Fine Arts, Osaka, 学芸課, 学芸課長 (50373519)
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Keywords | 美術史 / 唐三彩 / 熱ルミネッセンス |
Research Abstract |
唐三彩の窯址出土の陶片を平成18年度に引き続き、分析をおこなうとともに、国内に所蔵される唐三彩の調査を行った。平成19年度は研究の最終年度であるので、これまでの得られた陶片の分析をさらにすすめ、また各種の唐三彩の特徴を詳しく検討を加えた。河南省鞏義市黄冶窯出土の唐三彩の分析を主に行ったが、国内に所蔵される出土地不明の小型唐三彩の分析についても行った。今回分析を行った出土地不明の小型唐三彩については、熱ルミネッセンス法の分析により、現代の倣製品ではないことが判明したものの、黄冶窯の出土報告書にある小型唐三彩と、胎土分析などから産地が異なるようであり、これは未知の唐三彩窯址の存在の可能性も含め今後研究が必要である。 唐三彩が焼成された窯址が現在、6箇所発見されている。このうち、今回の熱ルミネッセンス法による焼成年代推定のために、最も重要な窯である河南省鞏義市にある黄冶窯の出土陶片の分析を平成18年度に引き続き行った。同時に、河南省の洛陽周辺の唐時代の墓から出土している唐三彩の製品が黄冶窯の製品であるかどうかについても、検討を行った。紀年墓出土の唐三彩の制作年代を基準とするために、これらと類似した唐三彩と今回、分析をおこなった唐三彩が同一の窯の製品であることを、示す必要があったからである。唐三彩の造形的な側面、唐三彩の施釉文様の側面、胎土の観察などを通して、窯址出土の唐三彩の考古学的な編年を推定し、平成19年度に熱ルミネッセンス法で分析をおこなった編年との比較を行った。 今回の研究成果による報告書として「黄冶唐三彩窯址出土陶片の熱ルミネッセンス年代測定」(青木智史、長友恒人、出川哲朗)と題して『奈良教育大学教育学部紀要』に平成20年度に投稿するとともに、中国古陶瓷科学技術国際シンポジウム(2009年3月北京)でも発表の予定である
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