2006 Fiscal Year Annual Research Report
19世紀アメリカの健康改革運動と文人たち:水治療をめぐる大いなる理想の構図
Project/Area Number |
17652032
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
福田 敬子 青山学院大学, 文学部, 助教授 (80276005)
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Keywords | アメリカ研究 / 英米文学 / 女性学 / 社会学 / 思想史 |
Research Abstract |
2006年度は、第40回アメリカ学会年次大会(2006年6月名古屋にて開催)で「ブラットルボロの奇跡-19世紀中葉アメリカの健康改革運動と文人たちの奇妙な関係」という題で口頭発表を行い、ドイツで発生した水療法ブームがどのようにしてアメリカに持ち込まれたか、また、どのようなアメリカの文化人がかかわっていき、社会や文学にどのような影響を与えたかを解明した。また、その発表に基づいた論文を発表することができた。 一方、昨年度の研究報告書で、「ヘンリー・ジェイムズが水療法を受けるきっかけとなった怪我の原因と、彼の南北戦争中の行動と周辺の社会状況を調査することで、彼が療養を必要とした本当の理由を探る」ことをもうひとつの目標にしたことを述べたが、このテーマでも論文を作成した。発表は2007年度になる予定である。 これらの研究を進めるため、2006年夏にはニューヨーク(公共図書館、医学図書館など)を中心に資料収集を行った。調査の最中に、水療法の女医(無資格)を自称したメアリー・ゴウヴ・ニコルズがマーガレット・フラーやアメリア・ブルーマーよりも先駆的なフェミニストであることを知り、この女性のことをさらに詳しく調べたところ、「フリー・ラブ」問題に行き着き、水療法の時代とブリー・ラブ運動の関連性に関心を持つにいたった。2007年度にはこの問題をテーマにした口頭発表を行うことがすでに決まっている。 ニコルズは、女性の健康問題や社会改革の必要性を訴える内容の著作を数多く残しているが、彼女の文学系の作品や文人たちとの交流の記録はほとんど忘れられている。「フリー・ラバー」と呼ばれたニコルズの文学的側面の考察をも発展させていくことが、2007年度へ向けての新たな目標となった。
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Research Products
(1 results)