2005 Fiscal Year Annual Research Report
1940年代のアメリカにおける超現実主義と実存主義の受容
Project/Area Number |
17652033
|
Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
永井 敦子 上智大学, 文学部, 教授 (50217949)
|
Keywords | 超現実主義 / 実存主義 / サルトル / 抽象表現主義 / 20世紀フランス文学 / フランス:アメリカ |
Research Abstract |
本年度は、研究課題について以下のように研究を進めた。 1 1940年代のアメリカにおいて、超現実主義と実存主義が誰によってどのように紹介されたかの経過を調査した。当時アメリカで発行されていた重要な人文科学雑誌Viewその他、国内で入手可能な文献を収集し、さらにニューヨーク市立図書館、及びイエール大学バイネケ資料センターにおいて、Possibilities, Tiger's Eyeなど、またフランス国立図書館にて、Fontaine, Confluencesなど、国内で入手不可能な当時の雑誌資料を入手し、分析をはじめた。また当時ニューヨークやパリで開催された美術展のカタログやそれらに関する研究、芸術家に関するモノグラフを元に、パリとニューヨークの間の芸術交流の足跡をたどった。 2 ジャン=ポール・サルトルが45年から46年にかけてアメリカ滞在をしており、この間にニューヨークにいた亡命超現実主義者たちや、アメリカの若手芸術家たちと交流したことがその後のアメリカにおける超現実主義批判や実存主義批判に大きく影響していると考えて、この滞在において、サルトルが誰と会い、何をしたかを、イエール大学所蔵の書簡資料などからたどっていった。 3 それらの分析の結果、サルトルがグッゲンハイムなど、当時のアメリカの現代芸術に大きな影響を与えていた人々と出会っていたことが確認できた。この点はサルトル研究においてほとんど問題になってこなかったが、重要な点であると思われる。特に彼の雑誌Partisanreviewのグループとの交流に注目し、とりわけグリンバーグの美術論や超現実主義批判とサルトルのそれとの比較分析を行い、その論点の類似点を明らかにした。 4 以上の研究の部分的なまとめとして、11に記した論文のほか、平成17年11月2日、3日に青山学院大学において行われた国際シンポジウム「新たなサルトル像は可能か?」において、サルトルの美術批評と彼のアメリカ滞在との関係についてフランス語による口頭発表を行った。
|