2006 Fiscal Year Annual Research Report
言語学・コミュニケーション・ライフヒストリー的観点からの中学英語教師の研究
Project/Area Number |
17652064
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
柳瀬 陽介 広島大学, 大学院教育学研究科, 助教授 (70239820)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大津 由紀雄 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (80100410)
横溝 紳一郎 佐賀大学, 留学生センター, 教授 (60220563)
|
Keywords | 英語教育 / 教師の成長 / 教師の信念 / 技能と言語 |
Research Abstract |
本年度(平成18年度)は、前年度のインタビュー研究を基にして、主として以下のように研究を進めた。 (1)インタビューをライフヒストリーの語りとして再構成する。この作業により、研究協力者の信念形成の過程などがきらに明確になった。 (2)インタビューの際に感じた、技能に関する語りを言語化することに関する困難点を理論的に整理し、学会発表し、その学会誌に論文公刊した。(柳瀬陽介(2007)「インタビュー研究における技能と言語め関係について」『中国地区英語教育学会研究紀要第37号』111-120ページ)。そこにおいては、マイケル・ポラニーの認識論などを参考にしつつ、技能の言語化は部分的にしか行えず、その部分的な言語から元々の技能を理解するには、技能に関する先行的な理解が必要であること、しかし技能の言語化により技能認識が深まることが明らかにされた。 (3)研究協力者の実際の授業の様子および学校の状況を観察するため、二回の観察を実施し、そこで追加インタビューも行った。その結果の一部は広島大学の報告書の中で公刊した。(柳瀬陽介(2007)「ある中学英語教師の多声性について」広島大学大学院研究科『中等教育における教科教育内容とその指導に関する研究』57-63ページ)。そこにおいては、ベテラン教師が様々な言語レジスターを使い分けている様子が報告された。これらの多彩な使い分けは、教師が教室現場でもつ多様な存在・役割を反映するものであること、またこの実践者は意図的に多声の使い分けをしていることが確認された。 以上の結果を踏まえ、最終年度である来年度は、(a)研究協力者が実践者として多大な共感を抱く異分野の実践者との対談の実施とその対談の分析、(b)これまでの研究成果を報告するシンポジウムの開催、(c)研究報告書の公刊を主な研究活動の柱とする。
|
Research Products
(2 results)