2006 Fiscal Year Annual Research Report
中東専攻を持たない大学でのイスラーム、ユダヤ理解の為の言語教育に関する実践的研究
Project/Area Number |
17652065
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
小脇 光男 熊本大学, 留学生センター, 教授 (30136030)
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Keywords | 中東 / 言語教育 / 異文化理解 / ユダヤ / イスラーム / ヘブライ語 / アラビア語 |
Research Abstract |
1、聖書および現代ヘブライ語とアラビア語のクラスを授業として実践した。受講者へのこれまでの聞き取り調査によれば、現代ヘブライ語およびアラビア語の受講者は、言語的関心よりもむしろ、ユダヤ民族の歴史、イスラームについての基本的知識、アラブとイスラエルとの関係といった歴史的、文化的側面により大きな関心を持っていることが明らかになった。(ヘブライ語の中でも、聖書ヘブライ語の受講者はおおむね、原語でテキストを読むことを第一の目的としており、学習の動機付けがかなり明確である。)首都圏で中東の言語、文化を講じている2,3の大学の教員から聞き取り調査を行なった結果でも、言語学習を第一の目的とするは受講者は限られているという同様な情報が得られた。 2、従って、中東専攻を有しない大学での教養的な授業では、一定のレベルに到達することを目指した言語教育に特化するよりも、異文化理解の枠内にごく基本的な言語学習の過程を組み込んでいく方法、すなわち歴史、文化等の側面を主とし、言語教育は補助的なものとする方が学生のニーズにより合致しており、またこの方法が逆に言語への関心を高め、更なる言語学習への動機付けにも繋がっていくのではないかと推測する。 3、言語学習も視野に入れた異文化理解の視点からより多くの学生の関心を引き付けるには、異なった授業形態が必要であり、そのためにはこの趣旨に沿った教材開発と、あらたな授業実践が必要であるとの認識に至った。(次年度は講義・演習を別途開講し、教授法を模索しつつ授業実践を試みる予定である。)
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