2005 Fiscal Year Annual Research Report
創設期イングランド銀行の口座利用者に関する史料分析的研究
Project/Area Number |
17652073
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
芝井 敬司 関西大学, 文学部, 教授 (00144311)
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Keywords | イングランド銀行 / 商人ネットワーク / 口座取引帳簿 / 西洋史 / 経済史 |
Research Abstract |
本年度の研究実施計画に従って、夏季にイングランド銀行図書館を利用した。銀行創設期の手書きの口座取引帳簿に関しては、当地における爆弾テロの影響からか、利用方法の変更が生じており、特にCD-ROM形式での複製が制限あるいは遅延しているために、当初予定した1694年および1695年の帳簿に関しては、主として筆記を中心に読み取り作業を実施した。帰国後はこれをもとに、分析作業を進めている。 また滞在中には、イングランド銀行創設期と同時期のイギリス東インド会社の株主名簿を大英図書館のオリエンタル・アンド・インディア・オフィスに所蔵する手書き文書類から見出し、マイクロフィルムの形態で入手したので、現在上記作業と平行して、マイクロフィルムからの読み取りと分析の作業を進めている。こちらの方は、すでに現時点で、複数の株主名簿のうちで、年度を異にする2件の名簿の人名をほぼ確定することが出来ている。作業に当たり、読み取りと転写に関しては研究代表者の責任で行い、とりまとめと入力作業は謝金を充当した。さらに本年度には、人名の特定や履歴の調査のために、関連する図書資料等を購入した。これを用いた人物同定は1件ごとの時間がかかる作業であるので、大きくは来年度以降の課題となる。 以上の作業を通じて、現時点でほぼ明確になった点は以下の通りである。 1 創設期イングランド銀行の口座利用者と同時期のイギリス東インド会社の株主名簿搭載者には一定の重複があること。 2 2つのリストに重複して名前の挙がる人物は、利用頻度や所有株式数からみて有力な商人グループを形成していると判断できること。 3 重複している人物について個人履歴をみると、半島出身のスファラディ系ユダヤ人をはじめとする相当数の外国出身商人がみられること。
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