2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17652078
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂井 正人 山形大学, 人文学部, 助教授 (50292397)
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Keywords | インカ / 都市 / ビルカバンバ / 景観構造 / 文字 / クスコ / 3次元地図 |
Research Abstract |
ペルー共和国クスコ県ビルカバンバ遺跡(Espiritu Pampa)の景観構造を解明するために、現地で約2ヶ月間(2005年10月17日から12月11日)の調査を実施した。ビルカバンバは、16世紀にスペイン人に首都クスコが占領された後に、アンデス東斜面の森林地帯に建設されたインカ最後の都である。新都ビルカバンバに関するスペイン人の記録文書は存在するが、本格的な考古学的調査はこれまで行われてこなかった。今回の調査では、まず遺跡全体を踏査して遺跡の範囲を把握した上で、その内部に分布する建物の平面図と3次元図面を作成した。これらの図面を作成するために、トータルステーション(光波式測距測角儀)による測量を実施した。またこれらの図面を既存の地形図の中に組み込むために、GPS(Global Positioning System全地球測位システム)の測定値を利用した。 遺跡踏査の結果、ビルカバンバは東西3キロ、南北1.5キロの範囲に広がり、そこに200以上の建築物が分布していることが確認できた。遺跡の付近には樹木が生えており、それによって建物の一部が崩れかけているが、遺跡の保存状態は比較的良好である。ペルー文化庁の許可を得て、樹木の一部を伐採した結果、ビルカバンバの都市プランが旧都クスコと類似していることが判明した。遺跡の中核地区には広場、基壇建築物、部屋状構造物が分布しており、クスコの儀礼活動の中心であった「太陽神殿」と非常によく似た建物もある。また付近には水路や階段状の農地があり、隣接する丘の上に展望台が確認できた。 なお、平成17年度の調査では、ビルカバンバ全体の約8割の建物を測量して、遺跡の分布図(平面図と3次元図)を作成した。この作業は次年度以降も継続する予定である。
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