2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17652078
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂井 正人 山形大学, 人文学部, 助教授 (50292397)
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Keywords | インカ / 都市 / ビルカバンバ / 景観構造 / 文字 / クスコ / 3次元地図 |
Research Abstract |
ペルー共和国クスコ県ビルカバンバ(Espiritu Pampa)遺跡の景観構造を解明するために、現地で約1ヶ月半弱(2005年10月25日〜12月7日)の調査を実施した。ビルカバンバは、16世紀にスペイン人によって首都クスコが占領された後に、アンデス東斜面の森林地帯に建設されたインカ帝国最後の都である。昨年に引き続いて、都の内部に分布する建物の平面図と3次元図面を作成した。これらの図面を作成するために、トータル・ステーションによる測量を実施した。またこれらの図面を既存の地形図の中に位置づけるために、GPSの測定値を利用した。 今回、新たに図面化した建物は約130点である。昨年の踏査では確認できなかった建築物を、多数見つけることができた。この2年間の現地調査で、ビルカバンバにおいて確認できた、全ての建物を図面化したことになる。総数は300以上である。 新たに見つけた建物は、ほとんどが山の斜面に分布する円形と方形の構造物である。居住区の可能性が高い。こうした居住区の存在は、この地にやってきたスペイン人征服者が書き残した記録でも言及されている。 インカ帝国最後の都ビルカバンバが、Espiritu Pampaと現在呼ばれている遺跡と一致することは、スペイン人征服者たちが残した文書資料の分析によって定説となっている。今回の測量作業によって、Espiritu Pampa遺跡の景観構造は、クスコと類似していることが再確認できた。その上、クスコの景観構造にもとついて、遷都が行われたことが判明した。これは予想外の成果である。このことは、Espiritu Pampa遺跡がビルカバンバであることを、遺跡の景観構造から傍証したことになる。
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