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2006 Fiscal Year Annual Research Report

日本帝国時代の山陰住民の大陸観-板祐生コレクションと半島移民の世界観分析を中心に

Research Project

Project/Area Number 17652079
Research InstitutionBukkyo University

Principal Investigator

鈴木 文子  佛教大学, 文学部, 助教授 (40252887)

Keywords帝国日本 / 地域社会 / 朝鮮・満州 / 通信文化 / 情報 / 趣味家 / 移民 / 軍隊
Research Abstract

鳥取県西伯郡「祐生出会い館」の帝国コレクションともいえる植民地関連の品々の入手経路を探ることにより、帝国日本における植民地政策と日本における一地方社会の関係を考察することが本研究の目的である。まず、昨年の計画1では、明治以降のコレクターの実態と彼等の中で植民地情報がどのように流布していたかを考察することが目的であった。結果、(1)趣味家は、学者や芸術家、市井の人といった区別がない広大な知の情報交換ネットワークを形成していた、(2)一般に趣味家達は複数のグループに所属し、同人誌を作成、発行し、そこには朝鮮、大陸居住者(ほとんどは、日本人)が多々含まれており、今日の韓流以上に朝鮮・中国の民俗文化に触れる機会を当時の人々が有していた(3)趣味家達は版画や書画の心得をもつ者が多く、同人誌や書簡を通し、文章だけでなく、画像によって現地の紹介がなされていた。また、絵画という表現法は、趣味家の特性ではなく、明治以降の農民芸術運動や学校文化、古くは江戸時代からある絵手紙の文化によって、比較的多くの人々に共有されていた才能であったのではないかと思われ、写真絵葉書や新聞などのメディア以外に、民衆のなかで植民地グラフィズムともいえる世界が存在していたのではないか等の知見が得られた。
第2の計画は、地元の帝国コレクション提供者の足跡を調査することであった。祐生の戦前の日記帳(明治41年から昭和18年)にある住所録には、計65名の海外(「外地」、植民地を含む)滞在者が記されており、日韓併合(1910年)直後から周辺では朝鮮半島や中国への移動が始まっていた。また、数人のキーパーソンの影響により移住しており、旧西伯町内でも特にH村を中心とした地理的に近接した人々やその縁者の移住が顕著にみられる。移住経験者が残した自叙伝もかなりあることがわかってきた。また、彼らの移住は、アジアばかりでなく、南洋諸島や、アメリカ、カナダなど、日本の国策や移民史と関連した移住であり、ローカルな要因だけではなく、マクロな時代背景と如実に関連していることがわかる。第3に、提供者には兵役中の者がいたことがわかっていたが、地元の部隊は、日露戦争やその後の日中戦争などの各戦役のみではなく、停戦時においても、植民地への駐屯部隊として、あるいは軍事演習のために朝鮮、満州、あるいは欧米へも頻繁に派遣されていた。植民地経験が、どの程度他地域の「郷土部隊」にもあったかは今後の課題であるが少なくとも、祐生の手元にある植民地の風景は、趣味家という特別な人物や(当時の鳥取県民の移民率などを考えても)、地域の特殊性ではなく、より多くの日本人が直接、間接的に知り得た植民地情報であり、戦争の風景であったのではないかと思われる。

  • Research Products

    (1 results)

All 2007

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 山陰から見た帝国日本と植民地-板祐生コレクションにみる人の移動と情報ネットワークの分析を中心に2007

    • Author(s)
      鈴木 文子
    • Journal Title

      『グローバル化と韓国社会-その内と外』国立民族学博物館調査報告 69

      Pages: 75-116

URL: 

Published: 2008-05-08   Modified: 2016-04-21  

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