2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松村 良之 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80091502)
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Keywords | 権利意識 / 法意識 / 川島武宜 / イエーリング / 法行動 / 社会的態度 / 心理測定法 / 社会調査法 |
Research Abstract |
第1に、川島武宜の権利意識論について、権利意識の測定という観点から検討を加えた。その結果、川島の権利意識の研究はそれが逸話的な話に依拠しているということに加えて、法行動から法意識が操作的に分離されていないという問題があることがわかった。第2に、両者を操作的に分離することを検討すべく、社会心理学における態度と行動の議論を参照した。それによって、権利意識は権利についての社会的態度であり、理論的にも行動とは独立に調査票その他の方法で測定可能であり、評価的側面、情緒的側面、認知的側面からなるであろうことが推測された。第3に、比較文化心理学などの検討から、権利意識は部分的には「権利」という言葉に対する反応から抽出可能であること、しかしながら、ある文化で権利に相当する言葉が用いられてはいないとしても(ある文化ではより個別的な事象にしか、言語シンボルがつけられていない)、それと等価な社会的機能物は存在する可能性が高いのであるから、後者の面も権利意識に含ませて考えなければならないことが見いだされた。そして、後者については、リサーチデザインとしては、シナリオ実験(小話による実験計画法)を工夫することによりある程度可能であろうことが見いだされた。第4に、「権利」という言葉についての反応について、研究代表者手持ちのデータのデータによる2次分析を行った。一般的に法学の世界では、権利については、正義と関係する客観的側面と、イエーリングに影響を受けた主観的側面の二面性が強調されているが、2次データの分析では、「権利」という言葉に対する反応はもっと多次元的であり、少なくとも、崇高性、身につけているか(認知の枠組みとしての権利)、自己利益道具主義、行使の正当性という4つの次元が見いだされた。
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