2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653021
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西山 慶彦 京都大学, 経済研究所, 教授 (30283378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
人見 光太郎 京都工芸線維大学, 工芸学部, 助教授 (00283680)
梶井 厚志 京都大学, 経済研究所, 教授 (80282325)
中嶋 智之 京都大学, 経済研究所, 助教授 (50362405)
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Keywords | 実験ゲーム / 計量分析 / 経済実験 / 二酸化炭素排出権取引 |
Research Abstract |
本研究は、経済主体がゲーム的状況においてとる行動に関するデータをどのように解析するかを調べることを目的とする。この分野はいまだあまり研究が進んでおらず、採用すべき計量経済モデルや統計手法について、研究者間で見解の一致を見るものは少ない。現状では、そのようなデータの一例として公共財の供給を舞台とする実験と二酸化炭素排出権取引を模した実験の2種類の実験結果が入手可能である。Hitomi and Nishiyama (2006)は、効用関数のパラメータが確率変数であると言う設定のモデルを適用することを提案した。すなわち、各経済主体は異なるパラメータ値をもち、それが個体の行動の違いをもたらすモデルである。これは、ベイズ的設定であり、推定や検定に関してはMCMCといった計算法が採用できる。Kajii et.al. (2007)は、ゲーム理論に応用できるグラフ理論的なツールを開発した。この手法は意思決定理論やゲーム理論への理論的貢献だけではなく、協力ゲーム解を計算する最適アルゴリズムへの応用や、その推定にといった拡張が期待できる。Kajii and Hara (2006)は非完備市場における債券価格の理論的上限と下限を求めるという問題にたいして、一つの解答を与えた。特に、経済のファンダメンタルにかんする統計情報が希薄な時にでも、この上限と下限は頑健である事が示された。Nakajima (2007)は、価格粘着性のある2国開放経済モデルを用いて、1国が流動性の罠に陥ったときの最適金融政策について分析を行った。2国の中央銀行については、2国の住人の厚生を最大にするように協調して政策を決定する場合と、非協力的に自国の住人の厚生のみを最大化するように行動する場合(ナッシュ均衡)のそれぞれについて考察し、特に望ましい名目為替レートの動きについて、既存研究と異なる結果が得られた。
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