2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653030
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
朝日 讓治 明海大学, 経済学部, 教授 (60158730)
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Keywords | 公共財 / NGO / NPO / ボランティア / 国立公園 / コミュニティ |
Research Abstract |
今年度の研究計画として、1.非政府機関の実態調査、2.公共財と公共サービスのリスト作り、3.理論モデルの構築、4.海外の実態調査、の4つの柱を立てた。 1と2については統合して、非政府機関としてのNGO、NPO、ボランティア団体によりどのような公共サービスや活動が提供されているかを調査し、リストを作成した。ひとつの機関が多様な公共サービスを提供していることが判明するとともに、実態の把握が困難な組織もあり、リスト作りに工夫が必要であることを痛感した。 3の理論モデルの構築については、内外の関連文献を検索するとともに、データ処理の手法としてパネルデータ分析の最新の成果を研究した。理論面では、これまでのミクロ経済理論の枠内で、「利潤ゼロとする制約条件の下で、非政府機関の効用を最大化する」行動仮説を立てるモデルを考察中であるが、さらなる精緻化が必要である。 4については、公共財における非政府機関の役割の事例として、米国の国立公園制度を取り上げ、米国における4つの国立公園の実態を調査した。まず、それぞれの成立の経緯を連邦政府と州政府と民間との関連で検討した後、正規職員と臨時職員、民間ボランティア、営利団体による公園サービス提供の役割を明らかにした。とくにセコイア国立公園では、自然保護を標榜する国立公園局(内務省)と自然資源の活用を目指す森林保安局(農務省)との対立と協力を実際に観察できた。また、カンサス州のトールグラス・プレイリー・ナショナルプリザーブでは、国立公園指定をめぐる牧畜業者(反対)と自然保護団体(賛成)の激しい論争を跡づけることができ、多くの資料収集とヒアリングを行うことができた。
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