2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653035
|
Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
村田 和博 埼玉学園大学, 経営学部, 准教授 (00300567)
|
Keywords | イギリス / 経営学史 / C.バベッジ / J.モントゴメリー |
Research Abstract |
第一に、J.モントゴメリーの代表的な著書であるThe Cotton Manufacture of the United States Contrasted and Compared with That of Great Britain,に主に依拠しつつ、「J.モントゴメリーの比較経営論」(『埼玉学園大学紀要 経営学部篇』第6号)を2006年12月に公表した。本稿では、モントゴメリーがイギリスとアメリカ両国の綿製造業を比較分析し、(1)紡績工程までの生産技術についてはイギリスの方が高いこと、(2)普通の力織機を用いた敷布については技術的に同位か、いくつかの点についてはアメリカの方が優れていること、(3)イギリスの機械は様々な品質の綿や種類の商品に適応可能であること、(4)アメリカでは優秀で経験豊かな職工が不足しているために、アメリカの機械には自動停止機能機能が装備されていることが多いこと、(5)建物と機械の費用、および賃金については、イギリスの方が低いこと、(6)綿の調達費用と動力の費用は、アメリカの方が低いこと、(7)費用を合算すれば、アメリカの方が綿製品を安く製造できること、を指摘したことを明らかにした。さらにこうした比較分析をもとに、彼がアメリカの綿製造業の台頭を察知し、イギリスの綿製造業に対して機械の改良を進めることにより一層の費用削減へ向けた努力を促していたことを明らかにした。 第二に、経営学史学会第14回大会(2006年5月20目〜21日)において、「C.バベッジの経営思想」という論題で報告した。本報告では、バベッジ研究の中で今まで注目されてきた管理の科学性、分業、そして労使関係は、費用の削減と密接に関連しており、彼は著書The Economy of Machinery and Manufacturesにおいて、費用の低下方法を真摯に模索していたと考えてよいこと、また、バベッジの費用、もしくは価格に対する強い関心の背後に、費用の削減を通じてもたらされる企業の繁栄により労使双方がその利益を享受できる、つまり、労使の利害は一致しうるという彼の信念があったこと、を報告した。なお、報告内容は、経営学史学会第14回大会『予稿集』に収められている。
|
Research Products
(1 results)