2005 Fiscal Year Annual Research Report
「標準作業票」と標準作業の設定による生産管理高度化についての実証的検討
Project/Area Number |
17653037
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Research Institution | Toho Gakuen University |
Principal Investigator |
田村 豊 東邦学園大学, 経営学部, 助教授 (40340400)
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Keywords | 標準作業 / 改善 / 作業集団の自律的機能 / スウェーデン / 職場の分業 / 作業設計権 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本企業がどのように標準作業を高度化していくか、この点を「標準作業票」の作成→変更過程を検討することで明らかにすることにある。日本的な特徴を明らかにするために、スウェーデン企業と比較する。そのため本年8月、スウェーデンでの工場調査を行い、BT社(トヨタ自動織機の子会社)、ボルボの自動車製造工場であるトシュランダ工場、サーブのトロヘッタン工場、さらに、トラック製造企業であるスカニアのセーデルタリエ工場の標準作業の内容と標準作業票の構成、書き換えの過程を調査した。また、日本ではキャノンの取手工場、岐阜車体で工場調査を行った。工場での聞き取りなどによって次の点が明らかになった。まず、日本企業では、標準作業が当該工場の製造技術者によって起案されるが、量産開始後、製造過程での現状に合わせて、製造現場作業集団の内部分業によって変更される。これに対して、スウェーデンでは、日本企業と同様に、各工場の製造技術者が標準作業を設定するが、製造現場作業集団が標準作業を変更できるケースは部分的にしか見られなかった。スウェーデン企業では、製造技術者が標準作業の変更についての権限を有している。 このことは、まず、日本企業の製造工程においては、直接作業者の作業設計への関与がスウェーデン企業よりも深い。標準作業票の変更が、現場作業集団の権限の下に行われることがその証左である。スウェーデン企業は、欧米企業が伝統的に踏襲してきた、技術者による作業設計権の占有を大きく変更していない。したがって、日本企業の製造能力の質的高さと、生産現場の状況変化への機敏な適応能力の高さの理由の一端は、標準作業の設計、変更を現場作業集団が担うという、日本的現場作業集団内分業の成果であるという理論仮説が成り立つと考えられる。次年度は、さらに両国おける標準作業管理の違いをより明確にする作業を続けたい。
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Research Products
(2 results)