2005 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀後半から変容ぶりが顕著になったNPOの実態にもとづき新NPO論を構築する
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17653045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 弥生 東京大学, 大学院・工学系研究科, 客員助教授 (50372404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀井 秀之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10181520)
山内 直人 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (90243146)
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Keywords | NPO / 民が担う公 / 行政改革 / 行政下請け / 行政依存 / 政策提言活動 / NPOの自立 / 経営モデル |
Research Abstract |
1998年12月NPO法制定以来2万3千以上のNPOが設立されている。NPOとは市民の立場から社会ニーズに応えるべく自発的に活動を行う主体のことであるが、小泉改革以降、NPOの状況にも変化がみられるようになった。小きな政府、民が担う公のスローガンのもと行政委託が進んでいるが、NPOの行政資金への依存度が急速に増加しているのである。行政との協働は必要であるが、しかし過度の依存は自立したガバナンスや使命を見失う危険性がある。また、スキャンダル記事も報道されるようになっているが行政委託・補助金に絡む内容が多い。介護事業実施のためだけにNPO法人格を取得するようなNPOの存在も目立ってきた。 本研究では、このようなNPOの変化をアンケートとヒアリングによって明らかにし、そこに影響を及ぼす政策・施策を分析する。さらに今後のNPOモデルを探るべく事例研究を行い、今後日本に求められるNPO像を提案することを目的としている。 平成17年度は1885件のNPOに対してアンケートを実施した。回答数は738、不達数は114、回答率は41.7%である。アンケートは活動分野、所在、従業員数などの基本事項、ガバナンス、行政との関係、政治との関係、既存法制度に対する関心など24問から構成されている。アンケート設計を行っている段階では、現場活動に従事しながら周囲の制度環境に関心を抱くNPOの数がどの程度あるのかが主たる関心であったが,分析途中でより重要な事項があることがわかり、こちらに重点を移して分析を行っている。すなわち行政との関係のあり方、資金依存の高さである。第一次分析の全NPOの平均をみても収入の7-8割以上を行政委託や補助金に依存している。同時にヒアリングからは業務委託内容や人件費単価の安さなどが指摘された。行政委託収入の全体収入に占める比率をより明らかにするために追加調査の準備を行っている。 行政資金の増加ぶりを裏付けるものとして中央、地方の政策・施策が考えられるが、各省庁のNPO関連予算の動向、地方自治体においては市民協働支援条例の動向、さらには支援費制度、指定管理者制度、介護保険制度の運営状況についてヒアリング調査を行っている。 なお、アンケート結果分析の段階から、有識者・実務者からなる研究会を開催し(2月)、制度や政策課題、NPOの経営モデルについて発表・議論を続ける予定である。
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Research Products
(2 results)