2005 Fiscal Year Annual Research Report
社会復帰(退院)支援のための評定・介入・効果測定フレームの体系化
Project/Area Number |
17653056
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
大下 由美 県立広島大学, 保健福祉学部, 講師 (00382367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加茂 陽 県立広島大学, 保健福祉学部, 教授 (30099676)
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Keywords | 社会復帰 / 社会構成主義 / ネットワーク / 資源 / 医療福祉 |
Research Abstract |
1.社会復帰支援のための基礎的概念整理について 社会復帰(退院)支援に関する国内外の文献検索を行った。その結果、患者の資源の不足、コミュニケーションスキルの不足の詳細な評定、スクリーニングシートや退院計画シートの開発という一般的評定論の研究が中心であることが明らかになった。その評定に基づく介入法は、資源の補足やスキルアップ訓練の導入という単純な方法しか述べられておらず、洗練された社会復帰をめぐる問題解決法を提示した研究を見出すことはできなかった。そこで、評定と介入法が連動し、その人が社会適応レベルを向上していく過程を説明し、さらに解決力を有するフレームの構成を目指した。まず、社会復帰の支援論のキー概念を資源、ネットワークそして地域として設定し、それらの概念に対して力動的定義づけを与えた。要約すると、資源とは、人と人とのトランズアクション過程で、有意味なものとして意味づけられたものと生成的に定義し、ネットワークとは、コミュニケーション・システムの力動的な結びつきを説明する概念として定義し、地域は、ネットワークの総体とした。これらの概念に基づく理論的なフレームを加茂陽編『被虐待児童への支援論を学ぶ人のために』(世界思想社、2006年4月刊行予定)において示した。 2.支援モデルについて 支援モデルについても、問題定義法、評定法、介入技法を軸にして、それらを体系化し、事例研究の中でその有効性の考察を試みた。それを上記文献において示した。その中でも特に「問題(定義)」については、社会復帰を支援する専門職が、問題を実在化させてとらえるのではなく、構成的に捉えることで支援法が広がることを明らかにした。さらに、どのような技法との組み合せで、変容が生成可能なのかという技法論についてもまとめた。その内容の一部は、第53回社会福祉学会で発表し、その後原著論文として社会福祉学に投稿中である。
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