2005 Fiscal Year Annual Research Report
ジャーナリストの惨事ストレスケアに関する心理学的研究
Project/Area Number |
17653065
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
松井 豊 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (60173788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 清志 東洋大学, 社会学部, 教授 (50125978)
井上 果子 横浜国立大学, 教育人間科学部, 助教授 (10242372)
福岡 欣治 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 講師 (80310556)
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Keywords | ジャーナリスト / 惨事ストレス / ストレスケア |
Research Abstract |
ジャーナリストの惨事ストレスの実態を把握し、ストレスケアのあり方を探索するために、報道関係者に対する面接調査を行った。本助成金は2005年11月に交付されたため、本助成金による調査は2005年11月から2006年1月まで実施された。テレビ局勤務の記者2名、管理職2名、新聞社勤務の管理職1名、記者1名、カメラマン1名の6名が面接の対象となった。助成金交付以前に独自に展開していた調査を合わせて、計31名のジャーナリストや報道機関管理職への面接を終了した。面接は半構造化形式で実施され、説明合意を得た上で記録された。調査時に「もっともストレスを強く感じた」として言及された災害や事故は、2005年JR福知山線脱線事故、2004年新潟県中越地震、1998年和歌山カレー事件、1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)、1991年雲仙普賢岳大火砕流であった。調査の結果、大事故や大災害で取材し報道したジャーナリストの少なくとも一部には、惨事ストレスが見られることが明らかになった。とくに、災害遺族などの取材対象者との関わりが、ストレスとなっていた。また、惨事ストレス発生時の上司の対応や同僚の支援が、ストレスケアにとって重要な役割を果たしていた。一方で、日本の報道機関では組織的な惨事ストレスケア対策を講じていないことも明らかになり、どのような組織的対策が適切であるかを検討する必要性が指摘された。 本研究の成果の一部は、日本トラウマティックストレス学会大会で発表され(2006年3月10日予定)、東洋大学21世紀ヒューマン・インタラクション・リサーチ・センター研究年報掲載論文において公表される(2006年3月刊行予定)。
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Research Products
(1 results)