2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653067
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
稲葉 哲郎 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 助教授 (10242083)
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Keywords | インターネット / 世論 / 選挙 / 世論調査 |
Research Abstract |
平成17年度においては、総選挙が予定されていなかったが、郵政民営化をめぐって突如衆議院が解散されたため、その機会を捉えて世論調査をおこなうこととした。有権者がどの程度インターネットを利用しているのかを把握することは重要だと考えられるためである。世論調査は2005年9月の総選挙投票日後に、東京都府中市の有権者1000名を対象に郵送調査法で実施し、回収率は40%弱であった。 調査からは、今回の選挙においてインターネットからの情報は有権者にあまり利用されていなかったことが判明した。衆院選について、「政党・候補者・政治家のホームページ」「新聞社やテレビ局のホームページ」「個人のホームページ」「ヤフーなどのポータルサイト」「掲示板」から情報を入手したかどうかを尋ねたところ、最も多かった「政党・候補者・政治家のホームページ」でも約10%ほどであった。この数値は、「NHKのニュース」「民放のニュース」など既存のマスメディアが50%以上あげられていたことを考慮すると低いものである。従って、ネット上の「世論」が世論に対して直接的に大きな影響があるとは考えにくい。しかし、「週刊誌・月刊誌」「スポーツ紙・夕刊紙」よりは多くあげられていたこと、また若年層において利用が多かったことは注目するべきところである。 ネット「世論」については、総選挙の際には、アルファ・ブロガーと呼ばれる一部の先端的とされるブロガーが自民党支持ないしは、自民党の勝利を予測するような現象が見られた。これらの点は注目されるべきところであり、ネット「世論」の機能についてさらに検討が必要なことを示している。
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