2005 Fiscal Year Annual Research Report
感情コンピテンスの発達研究における光トポグラフィの利用可能性の検討
Project/Area Number |
17653070
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 香 山形大学, 人文学部, 助教授 (50183827)
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Keywords | 感情コンピテンス / 光トポグラフィ / 自己効力感 / 自尊感情 / 前頭前野 / 光脳イメージング / キレる |
Research Abstract |
個人がより個性的、適応的、効果的、あるいは自信があるように環境を変えて行く感情に関わる能力、技量のことを感情コンピテンスという。本研究ではその中で感情に関わる自己効力感を研究対象とした。感情コンピテンスは生涯発達する。現在の日本社会で問題となっているキレル行動の発現は,小中学生から成人にまで及んでいるが、このキレル行動は感情コンピテンスの発達不全現象と言える。本研究ではキレ感情を引き起こす事物が自尊感情を損傷させ、結果として自己の存在性も損傷を受けるというプロセスがキレル行動の根元的原因のひとつであると推定する。従って、キレル行動の防止には個人の自尊感情の向上が極めて重要であると考えられる。本研究では以上のような理論的前提のもとに、成人の感情コンピテンス向上の為の作業における脳内反応を光トポグラフィという光脳イメージング法を用いて実験的に検討し、感情コンピテンス研究における光トポグラフィ装置の研究ツールとしての利用可能性を評価した。加えて、本研究では感情コンピテンスのひとつである感情自己効力感の向上のための技能の開発研究に向けて、自尊感情、自信が高まるような手法を試案し、言語的手法で被験者の自己効力感が向上する実験条件と身体的手法で自己効力感が高まる条件における光トポグラフィによる脳内画像を比較した。実験結果は、多くの成人被験者において身体的手法の際にも前頭前野の活性化がみられ、また後者の手法のほうが活性化が高い傾向が示された。本研究の実施において光トポグラフィによる計測によって実験条件の比較検討を行うに十分な脳内反応の資料が提供され、光トポグラフィ装置の感情コンピテンス研究における研究ツールとしての利用可能性が高いことが示された。
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