2006 Fiscal Year Annual Research Report
精神疾患により休職した教師の学校場面における発症前ストレス状況に関する探索的研究
Project/Area Number |
17653077
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
横山 知行 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (80242410)
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Keywords | 教師のメンタルヘルス / 教師のストレス / 発症前ストレス状況 / 長期病休・休職 / うつ病 |
Research Abstract |
平成17年度に引き続き、気分障害およびその関連障害と考えられる精神疾患による長期病休者・休職者教師を抱えた新潟県内の県立学校管理職に対し、休職者の発症あるいは症状の増悪に関連していると考えられる要因について学校場面でのストレス状況を中心に面接調査を行った。前年度分と併せた46名を対象者とした長期病休・休職の教師に関する聞き取り調査から明らかになったことは、以下の通りである。 1)長期病休・休職した教師は男性22名、女性24名であり、30代が最も多く、次いで40代、50代の順であった。 2)20代、30代では女性が、40代では男性の割合が多かった。 3)診断書による診断名では、うつ病、抑うつ状態、うつ状態等、うつ病圏の者が24名、強迫神経症、適応障害、不安障害等、神経症圏のものが12名、統合失調症2名、その他の診断(自律神経失調症、心因反応等)のもの8名であった。 4)17年度調査の結果から得られた4つの臨床類型によって分類すると、対人関係による不適応群13名(28.3%)と最も多く、次いで、内因性精神障害群10名(21.7%)、業務への不適応群9名(19.6%)、バーンアウト群8名(17.4%)、業務への不適応群の順であった。なお、6名(13.0%)は管理職からの面接のみでは十分な情報を得ることができず、分類不能とした。 5)対人関係による不適応群は20代女性に特に多く認められ、また、男女とも30代に多く認められた。一方、バーンアウト群は40代男性に、また、内因性精神障害群は男女とも40代、50代に多く認められた。 長期病休・休職との関連が推定される学校場面における教師のストレスとして、若年層では対人関係の問題が、中堅層ではバーンアウト状況が多く認められたという本研究の結果を考慮するならば、教師のメンタルヘルス向上のためには、若年層では対人関係スキルに重点をおいた研修を、中堅層ではセルフモニタリングやセルフケアに重点を行う研修を行うことが望まれる。また、管理職は上述したような教師のライフサイクルに応じたストレスに留意しつつ、メンタルヘルスに配慮する必要があると考えられた。
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