2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653086
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
横澤 一彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (20311649)
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Keywords | 文書校正 / エキスパート / 誤字検出 / ストループ効果 / 眼球運動 / 視野制限 |
Research Abstract |
校正の専門家は、特殊な方略や認知特性を身につけている可能性がある。そこで、本研究では、校正の専門家の認知特性を多面的に調べ、非専門家と比較することで、効率的な誤字検出方法について検討した。その結果、専門家は高い誤字検出能力を持つが、この差異を語彙知識量からは説明できないことを実験的に明らかにした。干渉効果として良く知られているストループ効果が、専門家では減弱したことなどから、専門家は文脈による干渉を抑制することで、効率的な誤字検出をしていると考察することができる。この研究成果は、国際会議(OPAM 2005)と日本心理学会第69回大会(2005)で発表した。 また、眼球運動を測定しながら、移動窓法によって視野制限する文章校正実験を通常の被験者で行った結果、窓サイズが拡大するにつれて停留時間や回数が減り、読みが速くなった。更に、校正読みの有効視野は通常の読みよりも広く、読み返しも多かった。校正読みでは、常に一定量の文脈を読み返し、処理中の単語と照合することにより、誤字の有無を確認するプロセスが存在することを示していると考えられる。このような読み返しは、校正読みの重要なプロセスであり、それによって文章の階層的な情報が利用されている可能性が高い。この研究成果は、国際会議(The 28th Annual Conference of the Cognitive Science Society)などで発表する予定である。
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