2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653087
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 利章 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (00116104)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 一光 大阪大学, 人間科学研究科, 助教授 (60260642)
木村 貴彦 大阪大学, 人間科学研究科, 助手 (80379221)
|
Keywords | 知的障害 / 認知 / パフォーマンス / 作業支援 / 職業リハビリテーション / 二重課題 |
Research Abstract |
現在の知的障害者に対する職業リハビリテーション法は,遂行困難な課題を分析し,構成課題毎に練習する方法が主流である.この方法は有効であるが,実施に高度な専門知識と長い期間を要するという欠点を持つ.そこで我々はこの欠点を補う作業支援法の提案を研究目的とした.我々は,実際作業環境下において,知的障害者にとって遂行困難な課題の事例を多く採取することで,その問題の背景にある知的障害者の認知機能とパフォーマンスとの関係を探り,そこから作業支援法を提案することを試みた. 知的障害者小規模作業所10カ所,知的障害者更生施設1カ所,障害者就労支援事業所1カ所において,作業指導員21名を対象にインタビューを行い,知的障害者172名分(平均年齢30.2歳〔SD=9.4〕,重度132名・中度29名・軽度11名)の資料(身体障害との重複の有無および障害部位,自閉症やその他障害との重複の有無)と,知的障害者の遂行困難な課題特徴情報を得た. 結果,知的障害者にとって遂行困難な課題特徴が64種類抽出された.調査者がこれらをKJ法により分類した結果,課題がA)両手の協応B)精度と力の調節C)空間的イメージの操作D)問題解決の要件を含む場合に知的障害者の課題遂行が困難になり,そしてこれらの要件が課題内で重複する場合(すなわち二重課題になっている場合)さらに困難になることが示唆された。また,遂行困難な課題を遂行しやすくする工夫を尋ねた結果E)作業結果のフィードバックを適切に与えることが課題遂行の困難性を減少させることが示唆された. 以上の結果を基に,我々は知的障害者の遂行困難な課題において,上記の5カテゴリーの課題要件(A-E)を取り除くという作業支援法を提案した.この方法は様々な作業課題において誰もが簡単に利用できるため,先述の現在主流の職業リハビリテーション法の欠点を補うことができる.
|