2005 Fiscal Year Annual Research Report
「気になる子ども」の保育を支援するコンサルテーション・システムの構築
Project/Area Number |
17653091
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菅野 幸宏 弘前大学, 教育学部, 教授 (70177773)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 恭一 弘前大学, 教育学部, 教授 (40106836)
安藤 房治 弘前大学, 教育学部, 教授 (40151211)
松本 敏治 弘前大学, 教育学部, 教授 (50199882)
砂上 史子 千葉大学, 教育学部, 講師 (60333704)
|
Keywords | 幼稚園 / 気になる子ども / 保育支援 / コンサルテーション / 長期縦断観察 / 発達助長 |
Research Abstract |
本研究は、幼稚園の「気になる子ども」に関する保育支援として有効なコンサルテーション・システムを実践の中で構築していくことを目的として行われた。 弘前大学教育学部附属幼稚園に支援ニーズを打診したところ社会的発達上「気になる」子どもが3歳児組、4歳児組にそれぞれ1名存在するとの回答を得た。支援への依頼が認められたので実態を把握するために6回の行動観察を行った結果、3歳児については全体的な発達の遅れ、4歳児についてはひとり遊びへの熱中といった問題点が確認された。その後の園側とのカンファレンスでは、行動観察情報が有益であり、今後もこれまで同様に継続することで了解が得られた。しかし、発達状況を正確に把握するための検査、家庭状況を詳しく把握するための調査に関しては慎重に対処したい旨の意向が寄せられた。以上の方針により概ね週1回の行動観察情報を媒介としたコンサルテーション活動を学年末まで続行した。なお、3歳児に関しては質問紙形式の発達検査が2回実施された。これは保護者のニーズを受けて保育者が当初の方針を変更したために実現した。 対象児にはいずれも相当の改善が見られた。3歳児は当初障害の存在が懸念されたが、観察を重ねるほどに改善し、全体的に遅れていると見られた発達状況も観察終盤では社会性領域にある程度の課題を残す以外には特に問題がないといった水準にまで改善した。この変化は保護者も実感し、園の対応に感謝の言葉を寄せている。4歳児は当初から深刻な問題があるとは見えなかったが、観察終盤では社会的発達に関してはとくに心配のない状況になった。以上から今年度構築したコンサルテーション・システムは保育支援として有効に機能したと言えよう。ただし、システムの総合的な評価にはもっと多様な事例を扱うことが必要である。
|