2006 Fiscal Year Annual Research Report
「気になる子ども」の保育を支援するコンサルテーション・システムの構築
Project/Area Number |
17653091
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
菅野 幸宏 弘前大学, 教育学部, 教授 (70177773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 恭一 弘前大学, 教育学部, 教授 (40106836)
安藤 房治 弘前大学, 教育学部, 教授 (40151211)
松本 敏治 弘前大学, 教育学部, 教授 (50199882)
砂上 史子 千葉大学, 教育学部, 助教授 (60333704)
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Keywords | 幼稚園 / 気になる子ども / 保育支援 / コンサルテーション / 長期縦断観察 / 発達助長 |
Research Abstract |
本研究は、幼稚園の「気になる子ども」に関する保育支援として有効なコンサルテーション・システムを実践の中で構築していくことを目的として行われた。 2年目の今年度は青森県K市の市立K幼稚園に支援ニーズを打診した。その結果、発達上「気になる」子どもが年中(4歳児)組に数名存在するとの回答を得た。そこで、これらのうちから3名(男児Y、男児A、女児M)を選び、その担任S、Tに観察情報の提供を行うこととした。担任にとって「気になった」点は、男児Yの「身辺自立の遅さ、言葉の不明瞭さ」ならびに男児Aの「言葉の少なさ」であり、女児Mについては「落ち着きのなさ、活動の切り替えにくさ」であった。 行動観察は週1回または2週に1回とし、本年度全体ではY、A、Mそれぞれ11回、7回、10回の観察を行った。 結果は、観察情報の提供が概ね有効に働いたことを示すものであった。例えば、Mについては「気になる」点が次のように改善されている。観察当初には遊びから片づけに移るときに指示に抵抗したり、思い通りにいかないときに他児を叩くことが見られたが、観察後半ではある程度我慢して指示に従い、他児を叩くことはいけないという意識が明瞭になり、自己統制力の高まりが看取されたのである。 残された課題は観察記録の作成に時間がかかり、情報提供まで1週間以上かかる点である。これは行動描写記録の作成を基本としている現状ではやむを得ないが、より迅速に観察情報を提供するために観察者の一層の訓練とともにより簡易な観察記録法の考案も求められる。
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