2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653093
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水本 徳明 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 助教授 (90239260)
|
Keywords | 職員室 / 場 / 学校組織 / 学校経営 |
Research Abstract |
明治期から昭和期までの,学校管理論・学校経営論(学校管理・経営に関する図書および雑誌記事)の中から,職員室に関する記述を抜き出し,職員室の内外の区切り及び職員室内部の秩序形成という観点から分析した。明らかになった主な内容は次のとおりである。 1.明治期 (1)場としての職員室は,元々教員の休憩室であったところに,授業準備,校務の処理,応接,物品保管などの多様な活動を含み込むことで成立した。(2)その背景には,教室の教授空間としての純化,聖職者論,家族的共同体主義があった。(3)職員室の内部は席次により官僚制的に統制されようとしたが,実態としては乱雑な面を持っていた。 2.大正期〜昭和戦前期 (1)校長室と職員室の緊張関係と職員室の民主化が論じられた。(2)教室観が転換し,諸活動の教室への分離が志向されたが,他方で職員室における統合性の強化も図られた。 3.昭和戦後期 (1)職員室で行われる諸活動を空間的に分離する考え方が出されたが,実態はそうならなかった。(2)その結果,職員室という場で諸活動が連結される構造が維持された。(3)諸活動の連結が空間と人間そのものを媒介として行われるので,人間関係がとりわけ重視され,そこから学校文化が形成されることとなった。 理論的にいえば,職員室において教職員の諸活動が機能的にカップリングされるのではなく,構造的にカップリングされている。それが学校におけるカップリングのルースさをもたらしている。したがって,学校経営において職員室は戦略的に重要な場であり,場のマネジメントを中心とした経営が必要であることを示した。
|
Research Products
(2 results)