2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653096
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
渡邉 保博 静岡大学, 教育学部, 教授 (50141552)
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Keywords | 短時間「教育」主義 / 延長保育 / 保育時間 / 保育内容 / 実践記録 / 質的研究 |
Research Abstract |
(1)先行研究の収集・検討について/長時間・夜間保育の先行研究を参考にして、国内外に所在する関係文献の調査・収集を行った。関連して、保育・福祉先進国スウェーデンの保育時間の実態について、当該分野の研究者に聞き取りを行い資料提供を受けた。以上の作業の成果の一端については論稿を執筆済で、来年度中に共著書として刊行する予定である。 (2)保育実践記録論について/歴史的評価の高い文献、及び今日注目されている文献の検討を行った。その際、保育をより広く福祉・ケア実践として捉え、寄宿舎における生活支援実践記録論や医療ソーシャルワーカーの実践記録論についても検討した。さらに、保育実践(史)研究は、今日的な課題となっている「質的研究」とも関連が深いことに注目し、「質的研究」法の原理と方法、生命誌研究、内発的発展論なども検討に加えた。 (3)史料収集について/1970年以降、保育時間の延長に伴って登場した独特の保育内容意識(短時間「教育」主義)について史料収集をすすめた。現場点で収集できたものはあまり多くはない。それはなぜかということについて史料論・実践記録論として検討するとともに、当時、保育時間の延長に関わった関係者にたいする聞き取り調査を実施した。短時間「教育」主義とは異なる保育内容意識もあったことが確認できた。また、資史料作成・保存の難しさ(保存場所の確保、資史料の価値認識、記録作成能力と経験年数、職員配置と記録の条件など)について一定の知見を得ることができた。同時に、個人の記憶ではなく、当時同一の保育所・自治体の職員にたいする一種のグループインタビューのような方法(を用いた史料収集)が有効かもしれないという着眼も得た。 (4)まとめについて/以上の研究成果を、2006年5月に開催される日本保育学会で発表する。史料論、短時間「教育」主義とは異なる保育内容意識についてもまとめてみたい。
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