2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17653096
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
渡邉 保博 静岡大学, 教育学部, 教授 (50141552)
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Keywords | 短時間「教育」主義 / 延長保育 / 保育時間 / 保育内容 / 実践記録 / オーラル・ヒストリー / 質的研究 |
Research Abstract |
(1)引き続き、長時間・夜間保育に関して国内外に所在する関係文献の調査・収集を行った。 (2)初年度行った資史料の収集と検討を継続した。まず、保育関係団体の研究誌・機関誌によって保育者の保育時間意識をとらえるという当初の方法の有効性と限界が見えてきた。また、今の段階で、保育時間・内容意識を何か1つのモデルで括ることはできないこと。保育時間・内容意識は保育団体、地域、園、個人で多様であり、その1つ1つに即して史料(実践記録)を収集検討する必要があることがわかった。とはいえ、そういう史料はあまりみつからなかった。保存状況が良くなかったこともあるが、そもそも長時間保育実践に関する記録があまり書かれていないようであり、それはなぜかというところに保育時間・内容意識を探る1つの鍵がありそうであった。 (3)長時間保育は園を単位とした長期的実践として生成・発展することからすると、長時間保育を切り開いてきた園の保育史を語りうる人物から聞き取るという方法の有効性がますます明らかになり、当初の計画通り聞き取り調査を行った。特に、1960年以降、長時間保育実践のよりよいあり方を模索してきた埼玉県鳩ヶ谷市の公立保育園に勤務していた保育士への聞きとり調査を複数回行った。また、その過程で、東京都東久留米市において長時間保育実施をリードし、「暮らしの保育」という観点を打ち出してきた保育士にも、予備的な聞き取り調査を実施した。聞き取りを記録に起こし、その内容の検討を進めると共に、近年の質的研究で注目されている「語り」や聞き取りという方法、あるいはインタビューや「オーラル・ヒストリー」等についても検討し、聞き取りという方法の妥当性について吟味を行った。 (4)以上の研究成果の一部を、2006年5月に開催された日本保育学会で発表すると共に、公刊した著作において現時点で得られた知見のいったんを示した。
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