2005 Fiscal Year Annual Research Report
小・中学校における習熟度別指導に関する学校臨床的研究
Project/Area Number |
17653098
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
志水 宏吉 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (40196514)
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Keywords | 習熟度別指導 / 学力 / 学校効果 |
Research Abstract |
今日、日本の教育界では、「確かな学力」の育成をめぐってさまざまな論議が行われている。その中でも特に注目されるのが、公立小・中学校における「習熟度別指導」の是非をめぐる議論である。日本の義務教育機関ではこれまで、習熟度別指導はある種のタブーとして、極力避けられる傾向にあった。しかしながら、近年の学力低下論争の影響もあり、文部科学省は、その積極的な導入を図ろうとしている。本研究は、教育現場に導入され始めた習熟度別指導の具体的な「効果」について、多面的なアプローチによって接近しようとするものである。 初年度にあたる今年度では、まず内外の先行研究を洗い出し、「習熟度別指導」にまつわる諸概念を整理し、具体的な研究成果について包括的なレビューを行った。その上で明らかになったのは、諸外国でトラッキングやストリーミングと呼ばれる固定的な「習熟度別編成」に関しては、否定的な教育効果しかのぞめないことがほぼ明らかになっている一方で、より柔軟に採用される「習熟度別指導」については、その効果に関していまだ定まった評価はないという事実である。 こうした状況をふまえた上で、H18年度においては、大阪・京都・兵庫の3府県における公立小・中学校でのフィールド調査を実施する。具体的にはその効果を、「学校組織に対する効果」「教員に対する効果」「児童生徒に対する効果」「学習成果に対する評価」の4つの次元に分け、量的・質的な把握を試みる予定である。
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