2005 Fiscal Year Annual Research Report
ビデオ研究を通して検証する保育者の暗黙的実践知の国際比較調査研究
Project/Area Number |
17653100
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Research Institution | Seinan Gakuin University |
Principal Investigator |
門田 理世 西南学院大学, 人間科学部, 助教授 (10352197)
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Keywords | 研究方法論 / ビデオ研究 / 幼児教育 / 保育者の実践知 / 国際比較研究 / 多声的エスノグラフィー / 発達観 / 質的研究 |
Research Abstract |
本年度は、まず、研究実施にあたって海外の研究者と3回に渡って勉強会・研究会を実施した。研究の対象を5歳児の保育と限定し、幼児教育機関を選定した。データ収集は以下のように行われた。 撮影者:日本と韓国の幼稚園教諭で5年以上の保育経験を有する教諭を各1名ずつ 被撮影対象:各国の5歳児クラス 期間:2005年6月〜2006年1月(第1ステージ) 手順:ビデオ撮影は、まず、撮影者がビデオ機材への扱いに慣れるためのパイロットスタディ期間(約5時間の撮影)の後、各国とも計3回の保育実践の撮影を実施した。1回の撮影時間は自由遊びを基調とした保育形態における1時間程度とし、撮影者は撮影する行為に対する視点と撮影した内容に関する視点の2方向からジャーナルをつけた。被撮影クラスでの撮影は、担任の了承のもと行われた。次に、作成したビデオクリップを、撮影者と研究者が視聴し、撮影者へのインタビューを行った。インタビューは録音され、研究補助者や翻訳補助者によって文字化された。韓国のデータは全て日本語に翻訳された。 データの分析に関しては現在進行中であるが、現段階では、「子どもの視点に立つ」ことに思いを新たにしたり、映像に映っていない実践を読み解く保育者の姿が分析されている。このことは、日韓双方の保育者にとって映像とは、保育記録だけに留まらない意義があることが示唆されたと言える。しかし、同僚を被撮影者として取りあげることの倫理的意味やアクションリサーチとしてのビデオデータ収集手法についての功罪など、議論と課題は山積しており、今後、撮影者の保育に対する視点を更に掘り下げて分析を行い、第2ステージへと続けたい。 なお、本年の研究についての成果は、本年度の日本保育学会、環太平洋乳幼児教育学会での発表が採択されており、また、ヨーロッパ乳幼児教育学会、日本乳幼児教育学会、日本発達心理学会において発表する予定である。
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