2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本最初期の点字雑誌「六つ星の光」「点字世界」における戦前の盲人の教育論・生活論
Project/Area Number |
17653122
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中村 満紀男 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (80000280)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥山 由子 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (00302365)
岡 典子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (20315021)
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Keywords | 六星の光 / 点字雑誌 / 明治時代 / 視覚障害当事者 |
Research Abstract |
これまで研究資料としてほとんど利用されなかった、明治末に東京盲(唖)学校卒業生を中心として刊行された点字雑誌「六星の光」を発掘・整理し、墨字化するという課題について、筑波大学附属盲学校に保管されている「六星の光」を調査した結果、新たに12号の所蔵が確認された。日本最古の盲学校である現在の京都府立盲学校においても調査を行ったが、1号しか発見されていない。しかし同校での調査によって、各盲学校の同窓会では類似の点字雑誌を刊行していたことが分かってきたが、同時に保存状況がよくないことも明らかになっている。 萌芽研究としての本研究の出発は、いくつかの成果をあげつつある。第一に、「六星の光」の墨字訳の活動が開始されたという情報が伝わりつつあることにより、その保存と墨字訳の活動の研究的・教育的意義がしだいに理解されつつある。第二に、「六星の光」の墨字訳は、筑波大学附属盲学校および同校卒業生の協力により、予定よりも時間を要しているものの着実に行われつつある。墨字訳に必要な機材も今年度、整えた。第三に、「六星の光」に投稿する盲人に関する調査によって、これまでの通説を訂正する事実が判明してきた。たとえば関西学院での調査によって、明治末期に関西学院で数名の盲学生の高等教育が開始される基盤となった盲学生のネットワークが明らかになりつつある。この盲の投稿者のなかには、東京盲(唖)学校と関係のない盲人もいるという意味で、同校の果たした意義についても、積極・消極の両面で再検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)