2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17654003
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菅野 孝史 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (30183841)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若槻 聡 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (10432121)
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Keywords | ヤコビ形式 / 保型L関数 / ユニタリ群 / Hecke環 |
Research Abstract |
四元数歪エルミート形式のユニタリ群上の保型L関数の研究を行い,以下の結果を得た.なお,これは前年度に考察対象とした,通常のユニタリ群とユニポテント群の半直積代数群を一般化するために不可欠なものである. 1.局所Hecke環及び局所L関数 四元数歪エルミート形式のユニタリ群に関しては,極大格子に関する単因子論及びHecke環の構造は古典的に知られている.しかし,後述するように新谷関数による保型L関数の構成に用いるためには,その極大格子を不変にする部分群(極大コンパクト部分群となる)よりは少し小さなものをとる必要がある.これに伴いHecke環には若干の非可換性が生ずる.この構造を決定し,Hecke環の指標を用いて局所L関数を定式化した. 2.新谷関数による局所L関数の構成 (四元数歪エルミート)ユニタリ群上にノルム関数を導入し,それを用いて局所新谷関数による局所L関数の構成を行った.方針は,直交群・ユニタリ群の場合(村瀬篤氏との共同研究)と同様であるが,議論は多少複雑になる. 3.保型L関数の構成 実素点でコンパクトな場合に保型L関数のRankin-Selberg型の積分表示を与えた.また,必要な解析的結果を得るために,(Klingen型の)Eisenstein級数の定数項を求めた.前項の結果とあわせ,(大域的新谷関数が単位元で消えないという条件下で)保型L関数の解析接続・関数等式を得ることができた. 最終年度においては,上の条件を外すこと,正則保型形式の場合に結果を得ることも目標の一つとする.また,四元数歪エルミートユニタリ群とユニポテント群との半直積代数群でも類似の考察を行いたい.
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