2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17654011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 晃史 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (10211848)
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Keywords | 双対性 / AdS / CFT対応 / 弦理論 / ゲージ理論 / 重力理論 / N=1超対称性 / Sasaki-Einstein多様体 |
Research Abstract |
双対性(duality)とは、異なる自由度・作用汎関数・対称性・相互作用等を持った物理系が量子論としては全く等価になることを指す。中でも注目を集めているのは、AdS/CFT対応と呼ばれる双対性の予想である。これは従来は全く異質な理論であると考えられてきたゲージ理論と重力理論が、実は同じ理論の二つの側面であるという大胆な予想である。このAdS/CFT対応、あるいはその拡張であるopen/closed string双対性を微視的に理解することは、弦理論の最も重要な課題の一つである。 この予想によれば、任意のN=1超共形対称性を持つ4次元ゲージ理論に対し、対応する5次元のSasaki-Einstein多様体Yが存在し、Yの幾何学がゲージ理論の相関関数などに反映されることになる。Yを底とする錘C(Y)はCalabi-Yau多様体であり、C(Y)の幾何学的性質を仮定していろいろな予言を導く研究は多くあるが、双対性の検証と言う観点からは望ましくない。 ゲージ理論側で場の演算子の量子補正を取り入れた厳密なスケーリング次元は、ある3次関数の最大化問題(α-maximization)として計算できることが知られている。しかしながら、「解の存在と一意性」「不安定極値(鞍点など)の非存在」といった、基本的な問題が未解決であった。これらが正しくなければ、対応する重力理論が非物理的になり、予想がそもそも意味をなさない。本研究では、上記の3次関数がある種の3次元凸多面体の体積として特徴付けられることを発見し、体積の関数の凸性(Brunn-Minkowski不等式)を用いてこれらの性質を証明することができた。また異なる解の間の隣接関係(繰り込み群の流れ)についても新たな知見を得ることができた。
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Research Products
(1 results)