2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17654018
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂上 貴之 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10303603)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 義仁 お茶の水女子大学, 理学部, 助教授 (10239626)
金 英子 京都大学, 大学院・理学研究科, 講師(戦略機関研究員) (80378554)
津田 一郎 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (10207384)
|
Keywords | 位相カオス / 反応拡散系 / 渦糸系 / BZ反応 / 非均一場 |
Research Abstract |
上記研究課題について、理論的・数値的な研究および実験的研究を行った。理論的・数値的研究では坂上・金のグループが、津田の助言なども受けながら時間周期的に渦糸が明滅する時に、その流れによって粒子がどのように拡散するかについて研究を行った。数学的には位相幾何学におけるThurston-Nielsen Theoryに基づく組紐の分類理論によってそこに見られる複雑な粒子拡散の解析を行った。その結界、二つの渦糸の回転方向が同じ時は粒子の拡散はあまり明確でなく、一方で二つの渦糸の回転方向が互いに異なる時、粒子はカオス的に拡散することが示唆された。このような位相的制約に基づくカオス的粒子拡散は「位相カオス」と呼ばれており、このような系が簡単な物理系で実現できることがこのことからわかった。 この理論的成果に基づいて、森らの研究グループは二つのプロペラが周期的に互いに異なる方向に回転するようにした実験装置を作成し、予備的な実験によって、数値計算が示唆するようカオス的拡散装置が実現できることを確認した。今後はこの装置の上で、化学反応を起こすことによって反応拡散パターンと流体パターンの相互作用について研究する予定である。 本研究に関連のある研究課題についての調査研究もすすんだ。アメリカ流体力学会の年会に参加し、渦糸を磁力によって発生させる装置を作っているグループとの議論を行い、我々が理論的に示したカオス的拡散装置が実現できるかについて検討を加えた。
|