2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17654020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
舟木 直久 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (60112174)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
儀我 美一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (70144110)
杉浦 誠 琉球大学, 理学部, 助教授 (70252228)
籠屋 恵嗣 琉球大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教授 (40323258)
乙部 厳己 信州大学, 理学部, 講師 (30334882)
西川 貴雄 日本大学, 理工学部, 講師 (10386005)
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Keywords | 確率論 / 解析学 / 統計力学 / 界面モデル / 流体力学極限 / 大偏差原理 / 結晶成長 / エントロピー的反発 |
Research Abstract |
多次元ガウス型ランダムウォークに、指定された部分空間へ正の確率でジャンプする効果を加えて得られるマルコフ連鎖を考える。研究代表者は、今年度はこのようなマルコフ連鎖に対するスケール極限を考察した。ジャンプの効果は界面モデルではピンニングとよばれ、上記のマルコフ連鎖は特異性をもつ界面モデルの一例と考えることができる。 研究成果を具体的に述べれば以下の通りである。まず、このようなマルコフ連鎖に対して、見本路大偏差原理を示した。もし、その速度汎関数の最小点が一意的ならば、スケール変換されたマルコフ連鎖に対して大数の法則が成立し、極限はこの一意的な最小点であることが割合容易にわかる。今年度、研究対象としたのは最小点が複数個ある場合である。この場合には極限の特定は非自明であるが、精緻な解析を実行することにより極限を完全に決定することができた。実際、極限の決定には、大偏差原理レベルの確率評価では不十分で、その精密な漸近評価が必要になる。極限は、部分空間の余次元およびマルコフ連鎖を最終時刻でピン止めするかどうかといった事情により異なることが示された。さらに、場合によっては複数の最小点が共存すること、すなわち極限においていずれも正の確率で生き残ることがあり得ることを示した。マルコフ連鎖の部分空間への到達時刻に対する中心極限定理を同時に証明した。 分担者の乙部は無限次元空間内の部分集合における発散定理を示し、西川は保存的界面モデルを対象に大偏差原理に関する研究を行い、それぞれ興味深い結果を得た。
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Research Products
(7 results)