2006 Fiscal Year Annual Research Report
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17654029
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
若林 誠一郎 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (10015894)
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Keywords | 双曲型作用素 / Cauchy問題 / 双曲型方程式系 / Wickカリキュラス / (anti-)Wick作用素 / 正準変換 |
Research Abstract |
双曲型作用素に対するCauchy問題のC^∞適切性について考察した。特に、主要部が正準変換によってファイバー方向の変数のみに依存するシンボルに変換されるような双曲型作用素(概定数係数の主部をもつ双曲型作用素と呼ばれる)に対するCauchy問題を考察して、C^∞適切性のための必要十分条件得た。概定数係数の主部をもつ双曲型作用素のクラスは、重複度一定な特性根をもつ作用素やこれを一般にした包合的な特性根をもつ双曲型作用素、また主要部が定係数である作用素等を含み、双曲型作用素の1つの基本的なサブクラスになっている。必要条件の導出のために、正準変換を用いて標準形に直してそこで考察して、元に戻して漸近解を構成した。この考え方は今後の研究において有用となるように思われる。 さらに、2階の双曲型作用素で主要部が時間変数にのみ依存する場合に、これまでに得られている結果を整理し、それらを統合する形で研究を発展させた。時間関数がリプシッツ連続でない場合の解析が必要で、今年度は十分な結果を得ることが出来なかった。次年度はこのことについてさらに研究を続けるつもりでいる。その際、Wickカリキュラスの適用の可能性も含めて研究したい。 局所可解性の研究においては、Dencker氏やLerner氏の研究によって(anti-)Wick作用素は市民権を得たように見受けられるが、それ以外への応用はほとんどなく、双曲型作用素のエネルギー不等式の導出にWickカリキュラスを適用することついて考えたが、糸口すら見つけられなかった。来年度以降の課題として、挑戦したいと思う。
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