2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17654036
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小谷 元子 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50230024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 雅好 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30179650)
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Keywords | ランダムウォーク / 被覆グラフ / 大偏差原理 / グロモフ・ハウスドルフ収束 / 距離空間 / 超準解析 |
Research Abstract |
小谷・砂田は結晶格子上のランダムウォークの大偏差に関して,その幾何学的考察を行った.結晶格子は自由アーベル群が作用し,商空間が有限グラフとなる.この周期性から,結晶格子を無限遠から観察すると一様な図形に見える.より正確に述べる.結晶格子をグラフ距離によって距離空間と考え,距離をスケール変換した距離空間の1パラメーター族を得る.このスケールをゼロに近付けたときのグロモフ・ハウスドルフ位相による極限距離空間を,結晶格子の無限遠での接錐という.結晶格子のようなアーベル周期性をもつ距離空間の無限遠での接錐の存在は,グロモフによって知られているが,この極限距離空間を具体的に,また,グラフの幾何の言葉で特徴つけた.距離球はコンパクト凸多面体となり,その端点が,具体的に商空間の閉路の構造で決まることを調べた. この結果をアーベルでない周期性を持つ被覆グラフに拡張することが,本研究の目的である.周期性を与える離散群が指数増大の場合には,上記のようなグロモフ・ハウスドルフ位相による極限空間は存在しないが,超準解析を用いた収束概念があり,その極限空間がR樹木となることがグロモフによって分かっている.R樹木のトポロジーに関する先行結果,特に双曲群との関連について情報収集と理解に務めた.R樹木上のランダムスネークに関する研究結果の調査および超準解析の基礎的情報の収集が本年度の成果である.来年度は,今年度の結果を踏まえ,この枠組みにおける大数の法則,大偏差の定式化を目指す.
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Research Products
(5 results)