2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17654039
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木上 淳 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90202035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (90234509)
日野 正訓 京都大学, 数理解析研究科, 助教授 (40303888)
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Keywords | フラクタル / 自己相似集合 / Dirichlet形式 / 熱核 / ランダムウォーク |
Research Abstract |
本年度の主な研究内容・成果は以下の通りである。 木上はシルピンスキーガスケット上の楠岡測度と測度論的リーマン構造について次のような研究を行った。シルピンスキーガスケットに調和関数を用いて座標をいれたものを、調和シルピンスキーガスケットという。この調和シルピンスキーガスケットに対して、2点間の最短距離で定義した測地線的距離が、楠岡によって定義された測度論的リーマン構造から定義される測地線的距離と同値であることを示した。さらに、この測地線的距離のもとで楠岡測度がvolume doubling条件を満たすことを示した。また楠岡測度に対応する熱核が測地線距離を用いればGauss型の漸近挙動を持つことを示した。 熊谷は臨界点における分枝過程に、絶滅しないという条件を付けたモデルを考え、この上のシンプルランダムウォークの熱核の詳しい評価を与え、ランダムウォークが劣拡散的な挙動をすることを示した(Barlow氏との共同研究)。 日野はフラクタル集合上の自己相似なDirichlet形式に対応するエネルギー測度の特異性について研究し、シルピンスキーカーペットなどの無限分岐的な自己相似集合の場合にエネルギー測度が自己相似測度にたいして特異的になるための十分条件を与えた。特に、Barlow-Bassによって構成されたシルピンスキーカーペット上の自己相似的なDirichlet形式についてその条件が成り立つことを示した。
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