2005 Fiscal Year Annual Research Report
ワイヤーチェンバーを用いた量産可能な大口径微弱光検出器の開発研究
Project/Area Number |
17654048
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
駒宮 幸男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80126060)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐貫 智行 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 助手 (70323491)
小林 富雄 東京大学, 素粒子物理国際研究センター, 教授 (50126059)
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Keywords | 微弱光検出器 / マルチワイヤーチェンバー / 光電面 / ガスゲイン / クエンチング効果 / 陽子崩壊 / 暗黒物質対消滅 / 高エネルギーニュートリノ |
Research Abstract |
本研究の目的は、安価で量産可能な大口径微弱光子検出器にマルチワイヤーチェンバーを用い、プロトタイプを作成して動作原理を実証することである。 平成17年度においては、ATLAS実験で用いているThin Gap Chemberのワイヤー構造を参考にして、光電子が生ずる光電面の配置を仮定して配置の最適化のためのシミュレーションを行なった。また、光電子がワイヤー近くで増殖する際に、発生する多くの紫外線が光電面を叩く事によって新たに多くの光電子が生じてしまい、これを止められなくなり放電に至ることをいかに防ぐかが問題となる。この解決策として(1)チェンバーのガスにクエンチング効果の大きいガス分子を混合させること(2)光電面をなるべく紫外線を近くで放出するガスチェンバーのワイヤーから見えない位置に置く、などの工夫が本質的に重要であることが分かった。クエンチング効果の大きいガス分子を混合させることでチェンバーのワイヤーに付着物がつき経年劣化が生ずる危険性があるため、また光電面のガスによる劣化を防ぐため、さらに可燃性ガスを用いる事は避けたいので、(1)ですべての紫外線を除く事は不可能だと考える。従って、光電面をガスチェンバーのワイヤーから見えない位置に置く設計を行なうべきであるという結論を得た。 試作チェンバーの作成を、チェンバーの動作と製作に詳しい博士研究員を短期間雇って行ない、ArとCO2の様々な混合でチェンバーの振舞いを試験した。この際、光を透過する面に透明電極素材を用いてチェンバーの製作を簡単化しようと試みたが、透明電極素材に光電圧をかけると抵抗値が変化してしまうことがわかりその使用を断念した。この試作チェンバーによる試験で本研究のためのガスチェンバーの理解が深まった。光電面の劣化を防ぐ為にはチェンバーの材質やガスの純化が必要であることが考えられるので、これらの研究は試作第2号機のチェンバーを作成する前に検討する。
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