2006 Fiscal Year Annual Research Report
広い質量数範囲に適用可能な低エネルギー偏極不安定核ビーム技術の開発
Project/Area Number |
17654051
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松多 健策 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50181722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 光順 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50218939)
三原 基嗣 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60294154)
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Keywords | 実験核物理 / 原子・分子物理 / 核モーメント / 金属物性 / β-NMR / 核スピン偏極 / 傾斜薄膜通過法 / 荷電交換反応 |
Research Abstract |
核スピン偏極した不安定原子核ビームは核構造や物質科学の分野で核モーメント測定や金属、磁性体、絶縁体、半導体結晶内部における局所場測定になくてはならない。原子核の質量数によらず、ユニバーサルに偏極不安定核ビームを生成する技術を確立するため、様々な方法を研究し、得られた偏極ビームを用いた応用研究を行っている。18年度、中間エネルギーでの一核子ピックアップ反応や荷電交換反応での偏極現象、低エネルギー直接反応での偏極現象、さらに傾斜薄膜通過法による原子偏極移行を研究した。 放射線医学総合研究所の重イオンシンクロトロンHIMACを用いて、核子当り100 MeVの陽子ピックアップ反応^<24>Mg+Beで生成する^<25>Al、荷電交換反応については、^<28>Si+Beや^<24>Mg+Beの衝突で生成する^<28>Pや^<24>Alの核スピン偏極をβ-NMR法にて観測した。ピックアップ反応では昨年中性子ピックアップ反応^<22>Ne+Beで得られた^<23>Neの偏極量に匹敵する偏極が観測された。荷電交換反応についてはピックアップ反応に比較して運動量分布が広く減速量は少ないことも有って、偏極量は多少小さくなるが有限の偏極量が観測でき、有望な方法である事が明らかになった。得られた偏極を用いて、^<28>Pや^<24>Alの核磁気モーメントや^<24>Alの電気四重極モーメントを決定するとともに、^<25>AlのPt中の偏極緩和時間の測定を行った。 低エネルギー直接反応での偏極現象については、5MVバンデグラフを用い、2.0-4.0MeVの^<24>Mg(d, n)^<25>Al反応で生成する^<25>Alの核スピン偏極をエネルギーと選別角度を変えながら観測した。0.2%程度の核スピン偏極が得られ、高収量をたよりに実験可能な偏極が得られる事が明らかになった。 傾斜薄膜通過法による原子偏極移行については、原子力研究所のタンデム施設内の低エネルギー不安定核ビーム施設TRIACにて、ポリスチレンの多重薄膜通過で生成する^8Liの核スピン偏極を観測した。約6%の核偏極が得られ、エネルギー依存性や薄膜枚数依存性等、重要な知見が得られた。さらに、中重核^<123>In核スピン偏極測定に向け、生成・分離・価数変換・加速テストを行い良好な結果が得られた。
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