2005 Fiscal Year Annual Research Report
EPRパラドックスの検証とスピン標識化陽子ビームの生成
Project/Area Number |
17654054
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野呂 哲夫 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (30164750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若狭 智嗣 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (10311771)
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Keywords | IEPRパラドックス / 偏極 / スピン / NN散乱 / スピン標識 / 量子力学 |
Research Abstract |
全スピンSが0に組んだ2個の粒子があるとき、片方の粒子のスピン方向を任意の量子化軸で測定すると、他方のスピンは同じ軸に関して必ず逆方向で観測される。どうして第2の粒子は第1の粒子の測定方向を知るのか、というのがEinstein-Podolsky-Rosenパラドックス(のBohm版)である。このことを陽子-陽子散乱と陽子-^4He散乱の組み合わせによって実験的に再確認すると共に、この現象を利用して、全体として非偏極でありながら個々の粒子のスピン方向にタグの付いた陽子ビームを用意することが、本研究の目的である。 本研究遂行のためには、高効率の陽子-^4He散乱偏極度計が必要であり、^4He標的(冷却ガス標的)の製作が不可欠である。このため、本年度の活動はその標的の設計と製作に費やされた。認められた研究費が冷却標的作製に不可欠なクライオ冷凍機の価格を下回っていたため、九大加速器施設で現有かつ使われていない(打ち捨てられている)クライオ真空ポンプの中から冷却能力のあるものを探し出し、これを改造することにした。現在、熱的・機械的設計をほぼ終え、標的の製作に取りかかっているところである。偏極度計としては、検出効率4×10^4程度、有効偏極分解能0.9程度の高性能なものが出来る予定である。本研究では最大3回散乱までの原子核実験を目論んでいるが、現実的な時間内での実験実施に目処がついた。
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